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僕は目標を達成した。
同時に生きていくための指針を失った。
君を失った時に味わった喪失感が再び僕の中を満たす。
僕は君を今も忘れない。
あの日、あの時、あの場所で、あの瞬間まで共に生きていた事を忘れはしない。
それは君が生きていた証だから。
それは"僕"が生きていた証だから。
この世界に僕より強いモノは存在しない。
指針を失った僕は襲い来る魔物を闇雲に狩り続けた。
僕はこの世界に生きる意味を持たない。
それでも焼き付いた君の言葉のために存在する道を行く。
今、何者もが僕の下に頭を垂れる様を見続けるため、ただ無駄に大きな椅子に座る。
君の元に行きたい。
そう望みを抱いて君との記憶を辿りながら、虚無の中で新たな"勇者"を待つ。
魔王となり果てた"僕"を殺してくれる"勇者"が眼前に現れる事を待ち続ける────
~fin~
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