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その人は私と目が合ったのを確認すると、嬉しそうに微笑んだ。 「お姉さん」 「あ、、」 木曜日のあの子だった。 お姉さん、なんていう響きで彼女に呼ばれると思っていなかった。 「帰りですか?」 次第に人が増えた電車で、彼女は積極的に話しかけてくる。 「あ、そうです」 思わず敬語になってしまった。話しているだけなのに、すごく緊張した。 「私も今学校の帰りなんです」 声を弾ませて言う彼女はなんだか嬉しそうだった。 「そうなんだ」 かける言葉が見つからなくて、そっけない返事になってしまう。 「帰りでも会うなんて、奇遇ですね。電車に乗ったらお姉さんがいたから、びっくりしました」 「ほんと、そうだね」 今日はいつもよりも早い電車に乗ったから、彼女が学校から帰る時間と被ったのか。 それにしてもすごい偶然だなぁと、思った。
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