第1章

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あの日から12年… あなたはあの日のあの約束を覚えていますか? あき枝 30才。 今まで出逢いがなかったわけではないし、お付き合いを申し込まれた事だってある。 ただ…ときめく出逢いにはならなかった。 心動く、"縁"が生まれなかった。忘れられない約束があき枝の中にあったからだろうか。忘れられない約束ー。12年前の高校の卒業式の日。 学校の体育館裏にある桜の木の下である約束をした。 同級生の修真と付き合っていたあき枝は卒業式の後、修真を桜の木の下に呼んだ。 あき枝は修真が来るなり、「別れたいの…」と口にした。修真は、きょとんとした顔をして「本気で言ってんの?」と言うと、あき枝はうなずいた。 「何!?俺の事嫌いになった?それとも他に好きな奴ができたとか!?」」あき枝はすぐ首を振った。しばらく修真の顔を見て、うつむいた。 そして、うつむいたまま「卒業して、新しい気持ちで頑張りたいと思って…」 「俺がじゃまって事か…」「違う!そうじゃないの。」そう言うとあき枝は、修真に背を向けてから言葉を続けた。「もうすぐ私は県外の大学に行くし、なかなか会うこともできなくなるし…そうなったら」あき枝は言葉が続かなくなった。
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