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すると修真は少し怒った声で、「離れたら、なかなか会うことができなくなったら、冷めてしまうくらいの、簡単に忘れてしまえるくらいの気持ちなのか、俺達は!?いや、お前は?はっ…俺はずっと同じ気持ちだと思ってたよ今まで。笑っちゃうよな…うぬぼれもいいとこだよな。」
「違う…」あき枝は修真の方を見た。「いいよ、もう。」そう言うと修真はあき枝に背を向けた。あき枝はすぐに修真の制服のすそをつかんで、「怖いの。離れる事が怖いの、怖くてたまらないの。いつか心まで離れてしまいそうで…でも修真君を縛りたくないから。」「俺かよ!?俺が心配されてるのか!?勝手に俺の気持ちを決めつけるなよ!お前の勝手な決めつけで俺を信じられないっていうんだろう!?」「そうじゃないの、私が弱いだけ…自分に自信がないだけ…」「お前の気持ちが変わるって事か?」「私は変わらない。でも、好きって気持ちが大きくなればなる程自信を失ってしまう。修真君の私への気持ちに臆病になる。」「だから、俺の気持ちを勝手に決めつけるなよ、俺の気持ちが変わるなんて決めつけて勝手に自信をなくすなよ!」「わかってる。私の考えがおかしいって事はわかってる、わかってるの。でも、この不安が消えないの。きっと離れてしまったらもっと不安になる。毎日毎日、不安をかかえてしまう。そしていつかその不安をぶつけてしまうかもしれない。」「俺に!?いいよ、ぶつけたって。」
あき枝は何度も首を振って、「そんな事をしてしまったら、ぶつかり合ってそして、嫌な思いもさせてしまうから。だから…」
「だから今、別れるって言うのか?」
「その方がお互いに…」「お互いに!?何、俺までそういう事になってるんだよ!お前が決めつけてるだけだろう!俺の気持ちも考えずに」…修真はやりきれないという思いだった。その思いからどうにもならないという現実に怒りすら感じていた。「ごめんなさい…」あき枝の声が泣いていた。少し風が吹いてきて、桜の花びらが舞った。
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