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“そのこと”に気が付いたのは三日前の惣菜の残りを電子レンジで温めなおしている時だった。 特に息が苦しいと感じていた訳ではない。口を開けて呼吸をする習慣もほとんど無かった。にも拘らず、いつの間にか顎が外れるほど大きく口を開けて、喘ぐように口呼吸をしていた。 知らぬ間に垂れ落ちた涎がズボンを濡らし、雨漏りでもしているのか? と、天井を見上げたときに顎が完全に外れてしまったらしい。 激痛に襲われて何かが起こったことを認識し、縋るように廊下を這って洗面所までたどり着くと鏡の前に立つ自分の姿のおぞましさに恐怖した。 見る影も無いほど大きく開かれた口から前方に向かって舌が垂直に伸び、先端が、全体が見る間に見る間に肥大していく。
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