0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「ん、じゃあ、さっき君が言いかけたこと、教えてよ」
「え……」
君との関係を、これ以上、進めたくもないし、退行させたくもないんだ。
僕が言ってしまっても、君は、君は。
「僕は、ロボットだから?」
「…………」
いつものように静かな瞳。全く揺れることのないそこに、震える僕はどんなふうにうつっているの。
「僕がロボットだから、僕には教えてくれないの」
「ち、ちが」
「ひどいじゃないか。僕は、僕だって、君と同じように」
「君は!君には!血は……通わないんだ……だって……ロボットだから……僕とは
……違うんだから」
絆創膏をはがされ、また滲み出す血を、アニが舐めとる。
「ぁ、あ、アニ、なに、やめて、アニ」
「僕には分からない。この血が、僕と君とを、こんなにも隔てることが。僕には分からない。だからくれ。僕にもこれをくれ」
「君と、同等になりたいのだ」
無理だ、無理だよ。
「あついね……ねぇ、僕には体温がないけれど、君の体温は分かるよ」
それは、それは。
「あかい……真っ赤だよ、ねぇ。見える?」
君のそれと、僕のそれは、違うんだ。
「ねぇ…………今、どんな気持ちなの」
僕と君は
同等にはなれやしない。
君には、
こんな複雑な気持ち、分からないんだろう?
最初のコメントを投稿しよう!