3. creeping

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「青山じゃん」 「あぁ、中瀬か」 部活が終わって家路につく。 高校から歩いて数分の駅のホームで、秀に声をかけられた。 この時はまだ、秀とは教室内で何度か何でもないやりとりをした程度だったが、彼はクラス全員の顔と名前を覚えてるんだろうか。俺に気づくと笑顔で近づいてきた。 俺たちの高校は電車通学している生徒はちらほらいたものの、運動部が活動を終えるこの時間帯はもうみんな帰っていることが多く、他にあまり人はいない。 「偶然だなー。俺もさっき練習終わったとこなんだ。青山はバスケ部だっけ?いつも大体この時間なの?」 「まぁね」 本当はサッカー部が終わるまでちょっと待ってたんだけどね。 「家こっちなの?」 「まぁ」 「そっかー。俺もこの路線なんだ」 …知ってる。 人前では彼はいつも笑顔を絶やさない。やっぱり俺に対しても、あの連中に向けるのと同じような張り付けた笑顔で話しかけてくる。 俺はそれに無性にイライラしたが、顔には出さない。 「じゃあ、一緒に帰るか?」 「おう」 俺が尋ねると、軽く笑って秀が頷く。 ゆっくり…だけど確実に。 早くこの仮面を引き剥がしてやるんだ。
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