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自らの衣服にも血がついている。 俺が殺したのか?? 階下に倒れている男を見た。 離れていてよくは見えなかったが、しかし、塚原はハッとした。 知っている男の顔だった。 それも、前から難儀に思っていた男の顔が階下にあった。 実は殺してやりたいと思ったこともある男の顔だった。 ここで気を失う前の記憶を塚原は頭をフル回転させて辿った。 倒れた時に頭を打ったことが原因なのか、記憶は極めて曖昧だった。 ただ… 何か、この階段で揉み合ったような記憶だけが曖昧模糊とした記憶の中で明滅する。 あの男と、確かここで揉み合ったような…! 倒れている男は、殺したいと思ったほどの男で、こいつに難儀していたのは確かだ。 頭を打って記憶がはっきりしないところはあるが、あの男と揉み合ったのだけは確かだ。 それで俺がナイフを握り、衣服は血まみれ、相手は階下で血を流して倒れている…。 急に塚原は血の気が引いた。 こんなところで捕まるわけにはいかない。 ましてや殺人罪は罪が重い。 塚原は自分の周りを見回して、この状況の目撃者がいはしないか見渡した。 いつも、朝のこの時間に、この階段周辺で人に会うことは滅多にない。 だからか、辺りを見渡しても人の姿は見えなかった。 目撃者はたぶんいない!     
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