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「犯人は倒れていたところを救急で運ばれた後に、すでに逮捕されており、まあ元々前科もなく、真面目な人間が魔がさしての犯行だったようで、警察では自分のやった行いを恥じて、事情聴取の段階で全てをあっさり自供したんですが、どうやらその自供によると、襲った人間の遺体が消えたということでした」 「…」 「こちらとしては、襲われた被害者は死には至っておらず、そのまま帰ったのではないかと言いましたが、犯人は確かに被害者は階段で派手に倒れて動かなくなったと言い張ります。それでこちらとしては、被害者の生存確認にこうしてお邪魔している次第なのですが…」 「ええ…!」 それ以上、言葉が出てこない。 何ということだ! 俺は、俺は容疑者ではなく、被害者だったのか! 「しかしですね、その被害者とおぼしき人物、つまりあなたですが、そのあなたには確固たるアリバイがある。これにこちらは困ってしまいましてね」 「はあ…」 はあ、としか言えない… 「犯人にアリバイがあるというのには何度も接してきたのですが、被害者にアリバイがあり、そのアリバイを被害者とおぼしき人物にここまで声高に主張されるというのは、こちらもあまり経験がないものですから…」 すんません! 俺が被害者です! とっとと、目の前のサーカスの司会者風刑事にそう言いたい!     
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