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「し、しかし、ま、まあ、その、刑事さんは最初は被害者は死んでおらず、そのまま帰ったのでは?と思ってらしたんですよね?でしたら、その、もう一回、何事も「初心に帰れ」と申しますか、その最初のお考えに戻られるのも一考かと…」
「ええ、そうしたいのは山々ですが、しかし肝心の被害者候補に確固たるアリバイがありますから、そうも簡単に考えられないわけです。だから他に被害者がいて、遺体が消失したのでは?という可能性を重々考えざるを得ないわけです。やはり確固たるアリバイがありますから」
あちゃー!
全てのネックは俺じゃないか!
「し、しかしですね、そ、その、確固たるアリバイというものは、そんなに確固たるものではないんじゃないですかね?」
「は?」
「いやだって、先ほど刑事さんはその確固たるアリバイを完膚なきまでに崩されて、全く確証がない、全くアリバイ足り得ないことをご自分で証明されたばかりじゃないですか!ねえ」
「はあ」
「だいたい、それにですよ、私がその、事件の被害者だということは何でわかったんですか?事件現場の目撃証言ですか?それともいつも朝に、私があの階段を通っているという情報からですか?」
「いいえ、犯人の自供からです。犯人がハッキリあなたを狙ったと自供しているのです。だから被害者はあなたに間違いないと…」
「いやいやいやいや、だったら被害者は私に完全に間違いないじゃないですか!」
「はああ??」
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