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そう踏んだ塚原は、周辺に自分の痕跡となるものが落ちていないか、目を皿のようにしてチェックした。
そして、今まで自分が倒れていた場所に、自らの指紋が残らないよう、靴で階段のコンクリート周辺を蹴散らすように踏みならした。
誰も見ていない。
今日俺はここに来なかった。
ウォーキングはほぼ毎日行なっているが、別段定期ではなく、朝用事があったり、気分が乗らなかったり、体調がイマイチな時はサボってきたから、今日俺がウォーキングをサボったことにしたって不自然さはない。
塚原は自分にそう言い聞かせると、ポケットからサングラスを取り出して、急いで掛けた後、被っていたキャップも目深に被り直し、その場から階段上部に向かって、そそくさと逃げ出した。
幸い階段を昇り、その後、自宅に着くまでの間、まだ早朝だからか、誰にも会わずに済んだ。
さあ、これからどうしたものか…?
まずは、ナイフと血まみれの衣服をなんとかしなくちゃなるまい…
塚原はそう思い立ち、着ていた衣服をすぐに脱ぎ始めた。
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