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「ところで、その血のついた衣服とナイフはどうされました?」
「あ、すんません!アリバイ工作中に、衣服は燃やして灰にして捨て、ナイフは高原の近くの川に投げ捨てました」
「ははあ、証拠隠滅というわけですな」
「大変申し訳ありません!」
「まあ、犯人が全て自供してますからね。あの様子じゃ、物証が消えたからって、それで裁判で証言を覆すとは思えませんから大丈夫だと思いますが。しかし被害者が容疑者の証拠を隠滅するとは前代未聞ですな、ハハハ」
「申し訳ありません!」
もう謝るしかない、謝るしか。
「まあ何にせよ、あなたがご無事で良かったですよ」
「はあ、ありがとうございます!」
「本当に良かった」
越前屋は優しく微笑みながらそう言うと、握手を求めてきた。
なんだか気まずかったが、ここは精一杯の愛想笑いを浮かべて握手しとこうと、塚原は思い、気持ち悪い笑顔を浮かべて越前屋と握手した。
越前屋も満面の笑みを浮かべた。
「あ、そうそう、今日はついでにもう一つお聞きしたいことがあって、お伺いしたんですけどね」
「はい!何でしょうかね?」
こうなりゃ何でもこの被害者に聞いてくれ、何でもお答え致しますよ。
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