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「あなたを襲った犯人の山岸淳吾は、あなたを殺そうと狙った動機について、あなたとはかねてから交際のあった、山岸の妹である山岸理代子さんがあなたに殺されたから、その報復にあなたを襲ったと供述しているのですが、何かお心当たりはありますかね?」 「…いえ、全く」 塚原の脳裏に暗雲がたちこめ、突然ギクリとした。 「そうですか。確かに山岸理代子さんは数日前から行方不明になっていて、殺された可能性もあると思われるのですが、交際されていたあなたが行方を知ってらっしゃるかなと思いましてね」 「いえ、知りませんね。このところ会っていないし、連絡も取れないんで、どうしたのかと思っていたところです」 凄ざまじい冷や汗が背中を流れた。 「そうでしたか。何でも山岸の話では、山岸はあなたと理代子さんとの交際をかねてから反対していて、それでついに、理代子さんがあなたと別れると言い出したとのことで、そこで理代子さんが行方不明になってしまったので、あなたのことを真っ先に疑ったようなのですが…」 「はあ」 内心の冷や汗や焦りを、塚原はどうすることも出来なくなっていた。 たぶん自分の顔は青ざめているのだろう、と思った。 「そこでですね、私、さっそくお宅の家宅捜索令状を取りましてね、あなたの生存確認のついでに、本日あなたのこのお部屋を家宅捜索させて戴こうと思って、それでまあ馳せ参じたというわけでしてね」     
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