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「しかし行方不明になった日に妹さんにプレゼントされたハンカチを、あなたはお持ちです」
「いや、このハンカチは、今日拾ったんですよ。たまたま落ちていたのを偶然拾っただけなんですよ」
「へえー、どちらで?」
「今日、高原に行った時、そこでたまたま拾ったんです。好きな柄だったんで、つい。それで、すいませんが、山登りの時に、そのハンカチで汗を拭いたので、そのまま自分のものにしたんですよ。警察に落としものとして届けなかったのは謝ります。でも、こんなハンカチはどこにでもあるものでしょう。彼女がプレゼントされたハンカチだとは限りませんよ」
「あなたが今日、高原でそのハンカチを拾われたのなら、妹さん、つまりあなたの彼女の死体は、高原に埋められている可能性が高いということになります。その場所が、彼女が訪れた最後の場所という可能性が高くなりますからね。まあ妹さんのハンカチか否かは、DNA鑑定すればすぐにわかりますよ。たぶん山登りの最中に、ハンカチで汗を拭っているでしょうからな」
越前屋はそう言うとニヤニヤした。
しまった!
彼女の遺体の埋葬場所を知られてしまった。
DNA鑑定の結果なんてわかっている。
あれは彼女のハンカチだから。
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