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どこか、勝手知ったるという気持ちも少しはあった。
だが一番の目的は、昨日からずっとこの高原地帯にいたというアリバイ作りのためだった。
塚原は、ニット帽を目深に被り、サングラスをかけて、顔を隠しながら自動改札を抜け、駅の外に出た。
そして、駅前に置かれた高原地帯の山道コースを解説したリーフレットを手にして、山道に向かって歩いて行った。
山道を登る前に平地の辺りを見渡すと、平日だからか、登山客が少ないような気がした。
アリバイ作りに来たのだから、誰かに見られていたり、他人と接触して、自分の存在を印象付けておく必要がある。
だから、塚原は標高の高いところにある平坦面である高原に登る前に、平地の山道入り口付近にある喫茶店や、土産物の売店にやたら顔を出した。
わざとらしく店員と世間話をしてみたり、高原に関する質問をして、なんとか自分の存在を印象付けることに努めた。
アリバイ作りのために、つまりこの土地に居たことを印象付けるために来ているのだから、高原に登る必要はあまりないはずだったが、その後、塚原は山道を登って行った。
この上には、標高の高い場所にあるリゾートホテルがあった。
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