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笹の葉
さやさやさやさや
笹の葉がすれあう音は何故かこんな風に聞こえる。
今日は天気が良いから、日の光がいい具合に遮られ、歩くにはいい感じである。
竹が両脇に生い茂っている道。
これが私の家へと続く道である。
いま私は、その道を家へと歩いている。
しばらくぶりである。
もう、かれこれ一年くらい帰っていない気がする。
小さい頃は嫌な道だった。
どちらかと言うと、嫌いな道だった。
いつも、さやさやと音がするのが、なんだか薄気味悪い気がした。
今は、さほど気にならなくなっている。
ただ、あまり好きという訳ではないが。
もう、家が見えてくるだろうか。
いつものように母が待っているのだろう。
私の好きな料理でも作っているのだろうか。
気のせいか美味しそうな匂いがしている。
もうすぐ、もうすぐ家に着く。
「ただいま戻りました。」
「あら、早かったのね。」
「ちょうど、ご飯の支度をしているところなの。」
「お帰りなさい、疲れたでしょう。」
「ご飯ができるまで、部屋で休んでいると良いわ。」
「うん、そうしようかな、お父さんはまだ帰ってこないの。」
「間もなくだと思うわよ、あなたが帰って来るのを楽しみにしていたから。」
「それじゃあ少し部屋で休んでいるから。」
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