笹の葉

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母と少し会話をして、私は、自分の部屋に続く階段へと向かった。 いつもと同じように、母は私の好きな料理を作っていた。 やはり、帰り道にした美味しそうな匂いは煮込みハンバーグだ。 とんとんと階段を上がり、自分の部屋へいく。 久しぶりの自分の部屋、久しぶりの自分のベット。 ベットに横たわると、疲れていたのか、ついうとうとしてしまった。 どのくらいうとうとしていたのだろうか。 夢を見たような気がする。 夢の中で、さやさやと、笹の葉がすれあう音がした。 夢の中で、あの道を歩いていたのか。 夢の内容はあまり覚えていなかった。 まあ、寝ている時のことは、目が覚めてしまえばそんなことがよくある。 ただ、階下が騒がしい。 「火事だ!」 という叫び声が聞こえる。 私は飛び起きた。 部屋のドアを開けて驚いた。 煙で見えない。 何も見えない。 どうなっているのか。 熱い。 どうすればいいのか。 熱い。 煙で咳き込む。 熱い。 頭がボーっとして来た。 意識が遠くなっていく。 さやさやさやさや。 どのくらいの時がたったのか。 あの火事はどうなったのか。 母や父は、無事なのだろうか。 少しぼんやりとした意識の中で、周りを確認する。 ここは何処なのか。 私は生きているのだろうか。 見たことのない人達が、私を見ている。     
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