夢の中で

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潜水艦に穴が空いてそこから水が入っているらしい。水はどんどんかさを増していく。そして、私のいる所は水没してしまった。すっかり水に満たされた私は、もう終わりだと気を失った。 気がついたら、私は火山島にいた。周りは溶岩が冷え固まった岩ばかりだ。ここら辺には人が住んでいない。来るとすれば、火山を研究している学者とか気象庁の職員くらいなものである。 さっきまで潜水艦の中にいたはずなのに、どうやって火山島に来たのか訳がわからない。ロシア語で会話していた潜水艦のクルーはあれからどうなったのか私には知りようがない。私だけここまで来た理由を考える余裕がない。 人気がない岩の上では、自分がどこにいるのか知りようがない。スマホがあれば位置情報ですぐわかるのだが、それを持ってないのでどうにもならない。私は、太陽や星を見て判断するしかない。 星の動き方で、どうやら北半球の亜熱帯地帯にいるようだ。世界地図では小さすぎて到底載らない島であるらしい。ここに居ても仕方ないから、せめて海岸へ向かうことにした。 岩ばかりの島を歩いてようやく海岸に着いた。海岸なら漁師町か港があると考えた私は甘かった。そこにいるのは、海鳥ばかりで、人がいない。それどころか波しぶきを浴びたり、鳥のフンが上から落ちて来るので余計に悪かった。     
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