夢の中で

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岩だらけの海岸で、魚の取り方もよくわからない私は、貝を採って、それを煮て食べるしかない。木が生えてない島で、どうやって火を起こすのかもわからないし、鍋もないので採れても生で食べるしかない。 生の貝を食べるべきか、やめておくべきか思案していた私は「やっぱりやめた」と諦めた。 考えてみれば、動物は煮炊きしないで生のまま食べる。それどころか、胎盤や子供が排泄した糞まで食べるのだから、人間は弱い生物なのだとここで思い知らされた。 私よりも強かな鳥は、魚を捕まえてはそれを食べる。海上を飛んでいる鳥にはどう見えているのか、狙いを定めると必ずと言っていいほど的確な行動で手に入れる。鳥よりもサバイバル術がない私は、ただそれを見るより仕方ない。 そんな時、この島全体が揺れた。地震だと思った私は、津波を避けようととりあえず高台へ避難することにした。しかし、この判断は誤りだった。 火山が噴火を始めたのだ。ここの溶岩はサラサラして、火口から出るとすぐ海岸へ流れるのだ。「しまった!」と思った私は、とにかく海岸へ逃げた。しかし、溶岩はどんどん海岸へと流れていく。そして、私のいる方へ方向を変えてきた。海へ飛び込んでしまった方がいいのかと考えた私は、とにかく海の中へ入った。     
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