君と眠る夢

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カフェで休憩した後、杏奈が次に足を止めたのは甘ったるい匂いが充満する雑貨屋だった。 これまでと同様、店内は無数の女性客であふれていた。 ちなみに、俺はこういうところが苦手だ。 どうもこういう匂いが駄目なのだ。 そんな俺をよそに杏奈は目をキラキラ輝かせてハンドクリームやらマグカップやらに夢中になっていた。 「ねぇ、これとこれどっちが好き?」 そう言って杏奈が自分の体に当てて見せたのはパジャマだった。 どちらも俺には違いがよく判らない代物であったが、悩んだ末に淡い地にドット柄のパジャマを選んだ。 「こっちね!じゃあレジ並んでくるから景は外で待ってて!」 そう言って杏奈の指さした方向には、女性客が長蛇の列をなしていた。 俺は軽いめまいを感じながらよろよろと店の外に避難した。
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