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授業の間の休み時間、お昼休み、放課後……。今日は暇さえあれば転校生の話が耳に入った。
転校生が来てから数日、私はミカ達と体育館へ向かっていた。
「ねぇ、あれ藤原先輩じゃない?」
レミはグラウンドを歩く先輩方を指さした。どうやら教室に戻るところらしく、ここからだと背中しか見えない。
「え?どれどれー?後ろ姿だからわかんないや。レミどうしてわかったの?」
ミカは先輩方の背中を見ながらレミに聞く。
「さっき横向いたからわかった。また向くかもよ?」
「よし、待とう」
ふたりは微動だにしない。置いてくかどうか迷い、彼らがあとどれくらいで校内に入るか見ると、真ん中の先輩が横を向いた。ちゃんと顔は見えないけど、目元にふたつの泣きボクロがあった。
ふたりは黄色い声をあげ、私は呆然とした。
あまりにも衝撃的過ぎて、先輩方が校内に入ってもなかなか動けずにいた。
「ちょっと凛真、どうしたの?」
「なになにー?あんなに非難してた藤原先輩の横顔に一目惚れー?」
ふたりはニヤニヤしながら聞いてくる。
「違うよ、他人の空似。行くよ」
私はニヤつくふたりを置いてきぼりにしようと、早足で体育館へ向かった。
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