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分かってたんだよな、先生にこんな事を言ったら絶対困らせるって。
だけど止められなかった。
一度で良いから気持ちを伝えたかった。
「菊池くん、あの……」
「何本気にしてるんですか、冗談ですよ」
悪戯に微笑む俺を見て一瞬だけ泉先生はホッとした表情を浮かべた。
困ってる表情は見たくないし苦しい気持ちになるけれど、冗談だと嘘をついてホッとされるのも我ながら傷付くものがある。
でも良いんだ、これで。
俺の選択は間違ってなんかいない。
「な、何だ~!ちょっと吃驚しちゃった!」
少しだけ頬を紅潮させて焦る彼女をたまらなく愛おしいと感じた。
出来る事なら今すぐ抱き締めて自分のものにしてしまいたいと言う欲が俺を支配するが、考えぬようその感情に抗う。
こんな身勝手な事ばかり考えていたらいつまで経っても自分自身が成長出来ない気がして。
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