タイムマシン

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 必死に絞りだして、彼らはいった。絞りだしたとはいえ、彼らの声に不安はなかった。  「次は、時間を止めてみせよう。」  彼らのパフォーマンスに人々は関心を示さなかった。空気を察して、科学者は、本題について話し始めた。  「タイムマシンは一度しか使わない。」  当然である。至極当然である。当然な発言だがしかし、人々の不安は増大した。人々は焦燥にかられ、せわしなく無意味は会話を繰り返した。  例えば、とある国の中年男性二人は、こんな会話をした。二人は親友だ。  「もうすぐ、十五時だ。」  「嘘をつけ。」  「じゃあ、何時だとおもう?」  「時計を忘れた。」  「さっきポケットに入れていたじゃないか。」  「もういいから。とにかく忘れたんだ。」  「いいや、おれはよくないね。」  「もうやめよう。」  「いいからだせよ!」  「もうやめよう。」  「出してくれ。」  「どうして?」  「不安なんだ。」   男は時計を取りだした。  時計は、正常に動いていた。男はいった。  「大丈夫。十五時だ。」  「そうか。よかった。まだ、動いている。さっきは取り乱して悪かった。」  「気にするな。もういいんだ。」  「そうか、そうだな、もういいんだ。」     
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