1841人が本棚に入れています
本棚に追加
芽以は逸人の手許を凝視してみた。
最初はよく見えなくても、だんだん焦点が合ってくることがあるからだ。
あの配色。
見覚えがある、と芽以はその広告っぽい紙を見つめる。
すると、気配を感じたように、逸人が顔を上げた。
慌てて隠れる。
よく考えたら、何故、隠れているのかわからないのだが。
「芽以?」
「あっ、はいっ」
とお呼びでしょうか、ご主人様、とばかりに走っていくと、逸人はその広告をテーブルの上に一度伏せた。
「なにしてるんだ? お茶でも飲むか?」
はっ、はいっ、と返事しながら、その広告を見る。
裏面にも印刷してあったので、わかった。
やっぱり土地の広告だーっ。
ずっと気になっていたのだ。
逸人が最初に宣言していたことが――。
最初のコメントを投稿しよう!