ケダモノが膝を抱えています

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 確かに、と鏡花は笑っている。 「まあ、ゆっくりしていきなさいよ。  明日実を連れ出さなくても、あんたも此処に泊まればいいじゃないの」 「いや、そんな迷惑をかけるわけには」 「ひとりも二人も一緒よ。  まあ、呑みなさい。  その代わり、最後まで、私の酒に付き合うのよ」 「たっ、貴継さんっ。  殺されますっ」 と明日実は貴継の上着をつかむ。 「鏡花さんは、うわばみなんですっ」 「大丈夫だ。  俺はヤマタノオロチだ」  いや、それ、どっちでも同じじゃないですかね。  まあ、酒の強さは同等か? と思いながら、仕方なく二人のあとをついて、リビングに戻った。
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