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「みんなは桜を知っているかな?」
背筋が曲がった老人は、目の前の子供たちに問いかけた。
「桜?あーゲームの中に存在するピンク色の花の木でしょ。」
「それなら僕も本の中でも見たことあるよ。」
「で、それがどうしたの先生。」
先生と呼ばれる老人は教壇に立ち話を続ける。
「実は春になればいたるところに桜は咲いていて、昔はこの学校にも桜がさいていたんだよ。」
子供たちはざわざわと騒がしくなり、嘘だという声が子供たちから発せられた。
桜は架空の物、それがこの時代の常識なのだ。今の子供たちは桜を見たこともなければ昔、桜はこの国で咲いていたことすら知らない。
「じゃあ、少し昔話をしようかな。まだ桜がこの国に残っていた時の話を。」
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