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これは私がみんなと同じ子供だった頃の話、桜なんて当たり前に見る事が出来た。この時には桜が消えるなんて考えもしなかった。それぐらい桜は当たり前にある物だった。
私の学校は卒業の時に桜を植樹するのだけれど、桜なんて沢山ありすぎて植える意味なんかあるのかと思っていた。
それから私は地元を離れ都会に住み始めた。都会に住み始めて数年後、異変に気が付いた桜が自分の住む都会から消えていた。
しかし桜は都会から出るとみる事が出来たし、桜が消えた代わりに都会は便利になったからさほど気にしなかった。
そして数年たつと桜はほんの一部の地域にしか存在しなくなった。
桜が見れなくなって初めて桜が見れるありがたさに気が付いた。当たり前の物が当たり前じゃなくなった時の寂しさは果てしなかったね。
母校の桜はおそらく見れないと考え、えらく落胆した。
だがそんな時に思い出したのは、どうでもいいと考えていた卒業の植樹だった。植樹から数十年たった今、小さくても母校の桜が見れるのではないかと考えた。
学生時代の友人を何人か呼び母校に向かう事にした。
大人になっていたし休みが上手くかみ合わなくて母校に行くのはだいぶ先になったが待たされた分、期待が膨らんだ。
そして桜を見に行く日が訪れた。
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