桜のあったころ

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 植樹した桜を見に行くのは四月でちょうど桜の咲いている時期だった。  母校に行く前に友人達と集まり、軽く談笑したあと母校に向かった。  四月に地元に帰ってなかったから気が付かなかったが、母校に向かうまでには桜があったはずなのに、周りを見渡しても桜は何処にもなかった。  数分歩くと母校が見えてきた。ここから見る限り桜は見えない。近づいてみても桜はなかった。  学生の時に見ていた桜は無くなっていたことにショックは受けたが新しい桜を見れると信じて母校に入った。  そして植樹した場所に着いた。  そこには桜の代わりに立派な校舎が立っていた。  友人達も何にも言葉が出ないという感じだった。  私は完全に母校の桜が消えて初めて気づいた、あってもなくてもいいと思っていた桜が我々にとって大切なものだと。 なら 「俺たちが桜を復活させようよ。」 誰が言ったか覚えていないがその言葉に私も友人達も無言でうなずいた。 「そうだ、約束しよう。もう一度この学校でこのメンバーで桜を見ると。」  私が決めた約束にみんなも共感してくれた。 「そうだな。約束。」「うん。復活させよう。」「またこのメンバーで桜を。」  みんなの気持ちは一緒だった。私たちの当たり前だった、日常の一部だった桜を取り戻す。 「下の世代にも桜、見せてやろうな。」
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