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(ふぅ。やっと行った。……あの人、粘ったわりに泣いたりはしないんだ)
友達がダメなら知り合いでも、それがダメならLINEだけでもと、何とか凜くんとお近づきになろうとしていたけれど、玉砕していた。
私だったら泣く。
私が書いてるネット小説のヒロインだって泣くと思う。
だけどどうやら、最近の恋愛感情はもっとドライらしい。凜くんに告白していた人は少しだけ残念そうにしていたけれど、あまり傷付いている様には見えなかった。
(……ふんっ。大して好きでもないのに告白なんてするから、断られるのよ)
私は本を片手に立ち上がって、スカートに付いた花びらを払う。
(でもそっか、普通の女子はもっと軽い感じなのか。……いま書いてる話にも反映させた方が良いのかな?)
プロでもないのに真剣にそんな事を考えながら、私は垣根の隙間を抜けてゆく。
(凜くん、また読んでくれるかな……って、あれ?)
校舎に戻ろうとした途中、地面に落ちていたラブレター。
私はそれを拾い上げた。
(……あの人も、意外とショックだったの?)
こんなの、他人に読まれたら恥ずかし過ぎて死ねる。
それを落としてしまう程度には、彼女も前後不覚だったのか。
そんな事も見抜けないなんて、私の悪いクセはけっこう重傷のようだった。
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