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「戸籍が他人のモノだと判明しましたよ。それも奴が児童養護施設に入所した十四歳の少年の時の戸籍が、香港マフィアの手で偽造されたモノだったんですよ」
「まさか警察官になる為の工作を、十四歳の子供に施すなんて。そんな昔から狙っていたって言うのか!」
「いや。あの襲撃犯たちを見ても、李周人がまともな人物じゃないって、よ~く解るだろう。アイツなら遣る」
さすがの強者揃いの組織犯罪対策課の刑事達も、信じられない情報に驚愕した。
そしてもっと恐ろしい事実が、押収した拓光臣の日記の判読から浮上した。
それはジュリエットの死に絡む、恐るべき事実だった。
殺しを実行したのは、竜崎翔の行方不明の妹・竜崎マリヤ。そして遺体の始末を手伝ったのが、ロビンフットなのだ。
遺体を海に捨てる為の船の手配や、手伝いの人員の手配は【白鴎会】の拓光臣がした。
拓光臣は竜崎マリヤに、何かしら弱みを握られていたらしい。
そしてジュリエットを殺害した理由が、複雑に絡み合っていた。
だが一番の理由は、ロビンフットがジュリエットに正体を見破られた事にある様だ。
ロビンフットに恋をしたジュリエットが、彼の全てが知りたくて、その少年時代を調べていて解ったらしい。
ロビンフットは麻薬取り締まりの警察内部の情報を、香港マフィアに流すための潜入要員で、殺しに関わる危険は冒せない。だから竜崎翔に異様な執着心を見せる李周人の愛人のマリヤに、翔を誘惑したジュリエットの情報をわざと流しておいた。
「嫉妬にかられた凶行」、それへ上手く誘導したのである。指を切って包みを作り、セイラのアパートの前に捨てたのも、妙な細工をして海にジュリエットの遺体を棄てたのも、自分に容疑が掛からない為の策謀だった。
そして彼の狙い通り、誰もがその犯行が猟奇殺人であると断定して、疑わなかった。
「ジュリエットの慰霊祭で、あんなに涙を流したのも芝居だったと言うんですか」
長くチームのメンバーとして、親しく付き合ってきたパパゲーノが苦しそうに呻いた。
「中学生の時から、(S)になる為に生きて来たなんて」、辛そうに呟いたのだった。
だが、真実はそうなのだ。
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