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然し、今回のような素人の役で潜入するには邪魔だ。
今は肌の露出をキッチリとさけている。
まぁ、私の背中の事は此のくらいにして、今の問題は中国マフィアに土地を売ったのが厳グループの傘下会社だと言う事だ。
「やっぱり、谷崎隼人を調べなきゃだわ」
『イイ男』が好きなジュリエットが、乗り気になっている。
「どうやって近づく気だ」
遅れて来たくせに、ボスがいきなり話に参加した。
「セイラ、月末に来日予定の厳恒星の歓迎パーティーが、東京オフィスで開かれるんじゃなかったかしら」
ウインクが不気味だ。
「私の招待状、何とか手に入れてよ」
(でもこいつは、大阪の支社の秘書だったはずだ。面が割れてるだろうが!)
「私ったら、三日と経たず首になっちゃったのよ。大事なデータごと、端末を壊しちゃってさぁ」
そうなのだ!ジュリエットには、どんなに頑固な機械も、触っただけで見事に壊すという特技がある。
「やってみるわ」、渋々請け合った。
取り敢えず、その日は散会。
ゴールデンウイークが終わって出社した私を待っていたのは、昨日になって急に来日したという厳恒星の罵声だった。
轟く様な大声で、役員室で怒鳴っている。
然も、北京語で!
次々に出社してきた秘書室のメンバーが、顔を見合わせて首を振る。
「山田君、悪いが役員室にお茶を運んでくれ」、秘書室長の命令が下った。
私は今回は、東京オフィスの契約書に山田恵子とサインした。だから今は山田恵子と呼ばれている。免許所も保険証もその名前だから、信用度は高い。
履歴書には真実も書く。
先ずは血液型、(嘘をつくと健康診断でバレる)。それから携帯番号と身長と顔写真。
それ以外は作文だ。組対五課が用意してくれた経歴や住所、自分で作成した趣味と特技を書き込んである。
語学力のコーナーには、とりあえず英語と北京語を書いておいた。(他にも話せるが、それ以上書く必要はない)
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