■プロローグ

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■プロローグ

桜の花が咲きほこる三月下旬。 父の転勤が決まり家族で引越しをすることになった私は友人に別れを告げるため、一本の桜の木の下にいた。 見上げる桜の木はどの桜よりも大きく、色鮮やかで何故か妖艶さがあった。 「ねぇ、アレやらない?『舞い散る桜の花びらを一回でキャッチ出来たら願いが叶う』ってやつ。」 子供頃、そんな迷信を信じてよく二人で遊んでいた。 もちろん一回でキャッチなんてなかなか出来なかったし、出来たとしても願いが叶うなんて事はなかった。 だけどー… 今日だけは童心に戻って信じてみてもいいかもしれない。 友人とのたわいもない会話も今日で最後なのだ。 改めてそう思うと無性に寂しさがこみ上げてくる。 私はそれを振り払うように手を伸ばしー…… そして…… (願い事。もし叶うなら私は……)
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