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ネオンの光が、人の命の灯みたいだ。
今は夜か。お月様を見上げると、満月だった。
だから、か。
とても気持ちがいいのは。
力がどんどん湧いてくる。
気分がハイになっていく。
「準備は出来た?」
もうちょっと待って、日奈子。
「お前は充電に時間がかかるからな」
ごめんね、ひかり。
「いいよ」
ネオンの輝きが強くなっていく。命が躍っているようだ。
私はこれから、「それ」を奪う。
大切な誰かの宝物を。
私たちは、宝石強盗だから。
世間では『怪盗マリー』なんて言われて、もてはやされているけど。
「いいじゃない。マスメディアがあおってくれれば、かえって仕事がやりやすいわ」
「そうかな」
「お、声が出た。じゃあ行くぞ。しっかり掴まってな」
「うん」
ひかりが、一段と凄い音を出した。まるで世界が叫んでいるみたい。
「レディ、ゴーッ!!」
「イッツ、ショーターイム!!」
始めよう。
大切な人を、奪うために。
「怪盗魔梨花、いよいよ放送!」
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