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「ボス、また何か面倒ごと押しつけられたんですかね」
蘭二が飄々と笑った。
「お人好しもいい加減にしてほしいぜ」
黒子はため息を吐く。
二人で仕事の愚痴を言い合いながら目的地へ向かう。ちなみにどちらも傘は持たない主義である。理由は面倒くさいから。ジャケットの裏側にみっちり武器を仕込んであるので、これ以上荷物が増えたら嫌だし、雨くらいで騒いでいたらギャラはもらえない。それにこの服は作業着だ。血で汚れたら向こうが勝手に洗ってくれる。
丘の上に到着すると、ボスはすでに自前の高級車を用意していた。
「え、あんたが運転?」
「そんなに急ぎの用なんですか?」
黒子と蘭二は若干ためらった。ボス直々にお出ましとは、何だかよくない予感がする。
「『怪盗マリー』の始末を任された」
ボスは静かに呟いた。
「ああ、例の女怪盗」
蘭二の目がちらっと変わる。
「可愛いですよねえ、お人形みたいな顔で。背は高め、スレンダーな体型……。超俺好み」
また彼の女癖が出る。悪い女が好きなだけに、しょっちゅう騙されては懲りずに追いかけるのだ。黒子は呆れて物も言えない。
「乗れ」
ボスはドアを開けた。
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