白猫と眼鏡

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私はレミ。 由緒正しい白猫よ。大きな家に住んで、毎日美味しいご飯を食べて、優雅に暮らしているの。 このままずっと、こんな素敵な日々が続くと思ってた。 ある日目が覚めると、家には誰も居なかった。 私のご飯も準備しないで、皆でお出かけしちゃったのかしらと、腹を立てながら家の中を探し回った。 そこに、たくさんの知らない人たちが入ってきたの。 知らない人たちは、何か大きな声を出しながら、次々にお家の物を運び出して行った。 私は恐くなって、隙を見て家を飛び出した。 それから何日も、1人で外をさ迷った。 ときどき窓から眺めるくらいで、外になんて出たことの無かった私は、あっという間に弱っていった。 自慢だった白くて美しい毛並みも、ぼろぼろになっていく。 弱っていくのを感じながら、自分ではどうすることも出来ず、木の陰で静かに震えていることしか出来なかった。 数日経ったある日の午後。私に近づいてくる人がいた。 ぼさぼさの髪をして、顔に何だか丸いものをかけている変な男。それがその人の第一印象だったわ。 何か言いながら私に向かって手を伸ばして来たから、引っ掻いて威嚇してやった。 男は少し驚いたみたいだったけれど、めげずにもう1度手を伸ばしてきた。 また引っ掻いてやりたかったけど、疲れはてていた私は、男に抱き上げられて意識を失ってしまったの。
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