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「この状況」とはすなわち、私が繰り出した意見に対して相手が恐れおののき、泣き出してしまうというシチュエーション。
そして周りにいる人物(たいていお節介女子)が「あー、〇〇ちゃん泣いちゃった!いーけないんだー。いけないんだー」と囃し立てて来るのまでがセットとなっている。
今もまさに、シクシクと啜り泣く、今年4月に入社したばかりの白沢優姫さんを両側から守るようにして挟んで立つ女性社員二人が、私に詰め寄っている、という図式が出来上がっていた。
ちなみに他の社員は一応は席に着いて仕事を続けながらも、興味津々でこちらに聞き耳を立てている様子が窺える。
「というか、一体何がどう酷いワケ?」
仕方がないので私は反撃を開始した。
「この研修資料、30部コピーするようにお願いしたら最初300で設定していて、「桁を間違えてるから気を付けてね」って言ってこの場を離れて戻って来たら最終的に3030と押し間違えてコピーを始めていた白沢さんに対して「注意力散漫にも程がある」と意見した事の何が酷いと?」
操作パネルの印刷部数の残数が『2998』になっているのを見た時は肝が冷えたわい。
しかしそれでも、百人一首の優勝者レベルの瞬発力でストップボタンを叩いた自分を誉めてあげたい。
「言い方ってものがあるんじゃないんですかぁ?」
「そうですよ。キツイ口調で責められたら誰だってメンタルやられちゃいますよ」
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