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意外なことに、それまでただただメソメソしているだけだった白沢さんは、しゃくり上げながらもきちんと自分の意見を述べた。
「数字をちゃんとクリアしたつもりだったのにできてなくて、そこに更に数字を入れちゃってたみたいで…。いっぱいミスプリント出しちゃったら紙と経費の無駄ですもん。怒られて当然です~」
……良いトシして公の場で泣き出すのはいただけないけれど、一応この子は自分の非を分かっているだけマシかな。
社会人として必要最低限のモラルは持っているという事だ。
でもね、白沢さん。私は別に怒っていた訳ではなくて、あくまでも冷静に諭したつもりだったんだけれども…。
「いいのよ。誰にでも失敗はあるんだから」
「そうよ。宇市さんみたいに、容赦なく責める方が間違っているのよ!」
しかしとにかく外野がうるせーんだよな、こういう場合。
だから私は責めてねぇっつうのに。
正義の味方気取りのこの二人、芳賀さんと清原さんは同じ年に入社して来た、私の4つ下の後輩。
二人共いかんせん雑で集中力がなくて入社当初は度々ミスをやらかしてくれて、タイミング的に私が指導する羽目になる事が多かった。
そういった際の私の言いっぷりが大層お気に召さなかったようで、未だに根に持っているようなのだ。
私に物申すくらいだからか弱い系ではなく、涙を見せた事はない。
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