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「それ×3000枚余計にコピーしちゃったってこと?さすがにそれだけの大量のミスプリントを出すのはシャレにならないなぁ」
白沢さんのおずおずとした回答を受けて山王子がそう返すと、芳賀、清原の両名は『うっ』と言葉に詰まり、すこぶる気まずそうな表情になった。
……こいつって、こういうとこあるんだよね。
すこぶる人当たりが良くてケセラセラな性格なのかと思いきや、無邪気にナチュラルに容赦なくズバッと相手の非を指摘したりする。
「気にするな」「何とかなるさ」という答えが返って来るのを期待していた相手はすこぶる戸惑うようだ。
しかしそれでも私と違って敵を作るような事態にはならず、引き続き周囲の人間と良好な関係を継続できていて、というか周りが山王子に嫌われないように必死にすがり付いている様子がアリアリと窺えて、その天性の人たらしっぷりにこの上なくイラッとしてしまう。
完全なる妬み嫉みである事は百も承知。
「…比較的早い段階でストップかけたから、そこまで紙を無駄にした訳ではないわよ」
それまで静観していた私はそこで言葉を発した。
間違いはきちんと正しておかなければいけないし、それより何よりこの話はとっとと終わらせて仕事に戻りたかったから。
白沢さんにコピーを任せて自分は別の作業を始めたものの、何だかとっても嫌な予感がして様子を見に来たら、案の定、設定数を大幅に間違えてくれていたのだ。
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