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『五日間、僕にちょうだい』
特に親しいわけでもない同じ学部の千田がそう言って差し出してきたコンビニコーヒー。
それを受け取り口をつけた数分後、三園は意識を手放した。
ジャラ…!
気づけば見知らぬ部屋。
その一角に置かれたパイプベッドの上で目を覚ました。
持ち上げた左手が硬質な音を立てる。
ボーッとする頭で左手首から伸びたそれを見つめた。
「…んだよ、これ…」
それほど太くは無いが、到底引きちぎれるとは思えない鎖。
その先は……
「おはよう。よく眠ってたね。」
聞こえてきた声は、鎖が伸びていた方向と同じ。
「……………」
「喉乾いてない?水のむ?」
鎖伝いに視線を向ければ、爽やかな笑顔と柔らかい声の持ち主…千田が座っていて。
ミネラルウォーターをちらつかせる右手首には、伸びた鎖が繋がっていた。
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