ユメ

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「僕はね、昼間は土の中で寝ているんだ。皆が夜、お布団を被って眠るように。ふかふかの土を体にかけて夜を待つんだよ」  ユメは聞きました。 「そのお布団を取ったら、あなたはお日様の下でも私と遊んでくれる?」  少年はとても悲しそうな顔をしながら、「きみが僕を見つけられるなら」とゆっくり頷きました。  ユメは「任せて」と、土を掘る道具を探しました。オレンジ色の可愛いスコップ、銀色でむっすりしたシャベル、像の頭のようなトラクター。けれど体の小さなユメが使えるのはスコップだけでした。  ユメは一人で土を掘りました。「お日様の下であの子と遊びたいの」と言って。しかし夕方になっても、ユメが掘れたのは自分の腰くらいまでの穴でした。  帳が落ちて少年が現れると、彼は「僕のためにやらなくていいんだよ」と言いました。ユメは聞きません、まだ掘ります。  少年がユメを心配そうに見つめても、少年が朝日とともに溶けてしまっても、ユメは穴を掘り続けました。  三日経ち、一週間が経ち、ひと月が経ちました。ユメは少年が「遊ぼう」と何度誘っても「次は太陽の下で遊びたいの」と言って、穴を掘り続けました。少年は土を掘り続けるユメの姿に泣きそうな目をして、いつも諦めるのでした。  いつの間にかユメは穴を深く掘りすぎて、自分では出られなくなりました。けれどどこを掘っても、土を布団にして眠る少年は見つかりません。ユメは悲しくなって泣きました。  夜になり、少年はユメのそばに降りてきて彼女の肩に手をのせました。 「ごめんね、僕はもう土の中にいないんだ。僕の体は神様が食べてしまったんだよ」  ユメはまた泣きました。少年は、ユメがどんなに深い穴を掘っても会えないことを知っていて黙っていたのです。  ユメが泣くと、その穴は少女の涙でいっぱいになりました。ユメは泳げなかったので、息が出来なくなって溺れてしまいました。  目が覚めると、ユメはお月さまの下で少年のそばにいました。少年は言いました。 「きみの体も神様が食べてしまった。きみはもう僕と同じで、夜にしか姿を作れない。太陽の精にはなれなかったんだ」  ユメは願いを諦めて、夜の時間を少年と過ごすようになりました。けれど不満はありませんでした。  ユメは少年が大好きだったからです。二人は鳥のように軽い体で空を飛び、たくさん遊びました。  いつまでも、いつまでも……。
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