2.また咲く二人になって

4/4
前へ
/8ページ
次へ
「ただいま」 「おかえりなさい、ちょっと遅すぎるよ。心配するじゃない」 「うん。ごめん。ソメイヨシノ、見てた。いや、話してた」 「おお、一人で立派にやりとげたか、女になって」 「お赤飯は二年前です」 「そういう意味じゃないです」 「あ、靴の中にあるね」 「うん、これで最後だと思うよ、押し花にしよう」 「どうだった? 結婚? 披露宴には呼んでね」 「違うよ。見染められてなかった。でも母ちゃん、この話私、母ちゃんにしないでもいい?」  窓からにゅっと風が吹く。  五年越しに追いついて芽吹き、色を染めた初恋はソメイヨシノが知っていた。   
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加