第5章

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 レボリスを発って早一週間。  シェイド達は、レボリス領内に点在する町の一つ「イラ」へたどり着いた。  国壁に囲まれていた都市部と違い、イラの町は木製の建物ばかり。  地面も舗装されておらず、むき出しになった地面には草がまばらに生えている程度だった。 「中央都市とはずいぶん差があるんだね」  幌馬車(ほろばしゃ)を操っていたリアンは、町を見渡しながら言った。  シェイドも幌の隙間から町を観察していたが、一言で言えば活気のないさびれた町だと思った。  鉄造りの中央都市は、蟻が群れるように人間でごった返していたというのに、イラは人も少なければ、施設も少ない。  今にも倒れそうな古い宿と、掘っ建て小屋のような病院。  レボリスの中枢から最も近い町だというのに、これほどまでに差があるとは思っていなかった。 「あの馬鹿将軍のことだ。国壁内を守るのに精一杯で、周辺の町まで金が回せないんだろ」  やせ細った子供ですら、大きな荷物を抱えて働いている。  小型化してシェイドに抱き抱えられていたルーヴも、町の様子を見て不憫そうに耳を垂らし、「かわいそうに」と呟いた。 「我は子供が苦しむ姿を見るのが一番嫌いだ」 「俺もだよ。でも、今は何もしてやれない」  現状、シェイドは自分達を守ることで精一杯だった。  恐らくレボリスから追っ手は放たれている。  飛翔できれば移動も楽だったが、紫眼が不調のせいで魔術を使用しすぎると血涙が流れてしまう。 血涙が出ようとシェイドは一向にかまわないのだが、ルーヴ達がものすごい剣幕で制止するものだから、極力使わないようにしていた。
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