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「空いているよ、坊や。お兄ちゃんと一緒の部屋でいいかな?」
お兄ちゃんと言われて面食らったが、シェイドは必死に愛想良くほほえみ、リアンの頭を撫でた。
「ええ、弟と一緒で大丈夫です。な?」
「う、うん! 僕ーーぶふっ、お兄ちゃんと一緒がいいな〜!」
笑いを堪え切れていないリアンを軽く小突き、シェイドは男性に鍵を催促した。
男性が鍵を探している最中、リアンはシェイドの服を引っ張って耳打ちをする。
「なんで兄弟のふりをするの?」
「あの店主、お前を子供と思っているだろ。子供と大人の男が一緒に泊まるなら、兄弟って言った方が自然じゃないか?」
「確かにそうだけど・・・・・・」
「それに、もしレボリスの追っ手が来たら、同室の方が守ってやれる」
「ええ、それなら別部屋の方が巻き込まれなくてよかったかも・・・・・・」
薄情な奴だと内心思いながら、シェイドは男性から鍵を受け取った。
「お部屋までご案内しましょう」
男性は階段を指さし、先に立って歩き出した。
兄弟らしく、手を繋いで(リアンはかなり抵抗していた)階段を上がっていると、男性が嬉しそうに振り返った。
「ご兄弟で旅行ですか?」
「まあ、そのような所です」
「ふふ、お客様がおみえになるのは久しぶりです。なんのお構いも出来ませんが、ごゆっくりなさってください」
「あの、少し失礼な事を聞くようですが・・・・・・」
シェイドは神妙な面もちで訊ねた。
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