第5章

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「イラの町は賑わっているかと思っていたのですが、この荒れ具合は一体どうされたのですか?」 「いえ、お客様にお話しするような事では・・・・・・」 「そう言わず。何かお力になれるかもしれませんよ」  男性は言いにくそうに口ごもった。 「旅行者様にお話しするような話ではないのですけれど、イラでは最近若い男のみがかかる病が流行始め、働き手が減りました。  薬を買おうにも町医者も死に、都市へ行こうにも、病に合わせたかのように町の周辺に魔物が現れて・・・・・・」 「それを中央都市には伝えましたか?」 「もちろんです。ですが、なかなか軍の方がいらしてくれなくて」  心底困り果てているようで、男性はがっくりと肩を落とした。 「私の孫も流行病にかかり、奥で寝ております。お二人も出来る限り早くこの町を離れた方がよろしいかとーー」 「どのような症状ですか?」 「・・・・・・は?」 「その病とは、どのような症状なのですか」  瞼を閉じたまま、男性の方へまっすぐ体を向けてシェイドが訊ねた。  男性は目をしばたかせた後、思案した。 「高熱や嘔吐がほとんどですが、酷い者は意識が混濁したりーーあと、体に奇妙な痣が現れます」 「痣?」 「ええ。蛇のような細長い痣が、足から現れて全身に巻き付くような・・・・・・」  シェイドはリアンの手を軽く握る。  すると、リアンも握り返してきた。  それを確認し、シェイドは男性に問いかけた。 「少し、お孫さんを診させていただくことは出来ますか? こうみえても魔法薬学師なので」
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