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即効性はないが、効き目は長い。
「これでしばらく様子を見ましょう。痣は原因が分からないので現状対処できませんが、熱と吐き気は治まるはずです」
「本当に大丈夫なんですよね?」
そう問うミアだが、半分は脅しだ。
息子に何かあったらただじゃおかないと、鋭く細められた目が物語っていた。
「薬に関しては、安全は保障します。ですが、病状の回復は息子さんの体力次第です」
「痣は・・・・・・痣はどうやって消すんですか。それがある限り息子は助からないんです!」
ヒステリックに泣きじゃくり、ミアはその場に座り込んだ。
残念だが、これ以上フィルにしてやれる事はない。
病の原因を根本から解決しなければ、いずれ死ぬ。
だがそうはさせるものかと、シェイドは拳を握った。
「お母さんは少し休んで下さい。息子さんは俺が看てますから」
「あなたと息子を二人きりになんて、誰がーー!」
憤然と立ち上がってシェイドに掴みかかろうとしていたミアを、父である店主が押さえた。
「いい加減にしろ! この人達はお客様なのに、フィルの治療をして下さっているんだぞ!」
「でも、お父さん!」
「いいから、向こうで少し横になりなさい。ろくに寝ていないだろう」
シェイドに小さく頭を下げると、店主はミアの肩を支えながら部屋を出ていった。
足音が遠のくのを感じ、フィルが寝息を立てているのを確認すると、シェイドはフードを払って目を開けた。
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