第5章

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「そうだけど、薪を取りに行かないといけないし、お店やさんも来なくなっちゃったから、自分たちで食べるものを探さないといけないの」  食べ盛りであろう少年の頬は痩け、腕はやせ細っている。恐らく他の大人もろくに食べていない。  薬を飲んでも、何か食べないと治るものも治らないだろう。  行商人が来なくなったのも、魔物が原因である事は間違いない。 「何か食べるものを用意しておくから、少し眠るといい」 「本当? お兄ちゃん、ありがとう」  薬で熱や吐き気が治まっているうちに、ゆっくり眠った方がいい。  フィルが寝付くのを見守ってから、荷馬車から何か取ってこようと、シェイドは腰を上げた。  フードを深くかぶってフィルの部屋から出ると、やつれきった店主とはち合わせた。 「お客様、フィルは・・・・・・?」 「薬が効いたようで、今は落ち着いて眠っています」 「そうですか、よかった」  心底安堵したようで、店主はため込んでいた息を大きく吐き出し、微笑んだ。 「お疲れでしょう。日も落ちましたし、どうぞお部屋でお休み下さい」 「ありがとうございます。でもその前に、お孫さんに果物か何か食べさせてもいいですか?」 「そんな、お薬だけでもありがたいのに、食べ物まで・・・・・・」 「薬は症状を抑えるだけで、病を治すには体力が必要です。大した食べ物は持ち合わせていませんけど、何も食べないよりはいいでしょう」
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