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ーー刹那、レナードたちの前に、真っ白なローブを羽織った人陰が滑り込んできた。
フードがはだけ、現れたのは黒髪の青年だ。
目は閉じられたままだが、まるで睨まれているように、レナードは感じた。
「下がれ!」
「え・・・・・・っ」
「仲間の所まで下がれ、早く!」
あまりにも鋭い男の一声に、レナードは詠唱をやめて後ずさる。
男は薬瓶を取り出すと、地面に叩きつけて中身をばらまいた。
液体は気体化し、周囲に霧のごとく立ちこめた。
魔物たちはその霧を避けるように身をよじり、やがて去っていく。
二投目の薬瓶を用意していた青年は、身構えを解いてレナードたちを振り返った。
やはり目は閉ざされているが、青年が確かに睨みつけていると、レナード達は確信していた。
「あの、あなたは・・・・・・?」
障壁を張っていた少女がおずおず訊ねる。
青年は身なりを整えると、少女の問いに対し、淡々と応えた。
「俺はシェイド。迷いの森に住む魔法薬学師だ」
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