第4章

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「我々に何か?」 「ええ、別邸に用があって参りましたら、アクロイド大佐のお姿が見えましたので」  にっこりと柔和に微笑むのは、冷酷無慈悲と恐れられるレボリス将軍の愛娘。  腰まで伸びる黒髪には緩くウェーブをかけ、風にそよがせている。  白い肌に桃色の唇が映え、つぶらな碧眼は優しく細められている。  少女に似つかわしくない、上品な微笑を浮かべた彼女は、不機嫌そうにそっぽを向いているシェイドに歩み寄った。 「あなたが噂に聞くシェイドさんですね」 「どのような噂かは知りませんが、そうですね」  どうせろくな噂ではない。  ぶっきらぼうに返答するシェイドにアイザックが青筋を立てたが、令嬢は優美な所作で諫めた。 「確かに良い噂ばかりではありませんが、あなたの功績も聞き及んでおります。父も兄も、大変興味を持っておりました」 「それは光栄です」 「本日の査問会、わたくしも参加させて頂きます。あなたの不利益にならないよう、微力ながらお手伝い致しますわ」  初対面の彼女に味方される道理はないはずだ。  フラヴィアの行動に疑問を呈そうとした時、少女の顔がぱっと華やいだ。 「お兄様!」  先程までの淑やかさが消え、年齢相応のはしゃいだ声を上げてフラヴィアは駆け出す。  向かった先は、 「フラヴィア!」
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