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泣き出しそうな、いや、もう散々泣き腫らした顔のユイスだった。生きているのか。ユイスが。そんなわけはないはずなのに。でも、間違えようのないユイスだ。
許してくれるのだろうか。
視界が霞む。涙が溢れ、頬を一筋流れ落ちていく。
「オレはあんたの側にいても、いいのか? そこに、みんなのところに、居ても」
そんなことが許されるのか。
「お前が望むならいくらでも」
望んでもいいのだろうか。自分がそこにいても構わないのだろうか。もう二度と、大切なものを、自分の手で壊さずに済むのだろうか。
「それでも怖いって言うなら、いくらでも傷つけろ。それくらい受け止めてやる」
どうしてこの男は、自分の欲しい言葉がわかるのだろう。いや、当たり前か。自分の思考が全部筒抜けなら。
「オレはもう、自分の手で誰かを失うのも、誰かに置き去りにされるのもイヤだ」
「だったらなんの問題がある。お前がどれだけ俺を殺そうが、お前ごときじゃ俺に傷なんかつけられない。俺は絶対にお前から失われたりしない。お前を置いて消えることもない。俺以上にお前にそれを確約できる存在が、この世のどこにいる」
言葉が詰まった。衝動がレイスを揺さぶり、突き動かそうとしていた。嬉しかった。今まで求めてやまなかった存在が目の前にいて、しかもレイスを受け入れてくれるという。これ以上何を望むと言うのだろう。
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