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ぱきりとその時レイスの中で何かが壊れる音がした。
自分ではまるで気づかないまま必死に何かをおしとどめようとし、それでも溢れ出る思いを止められるわけもなくさらけ出した。
「オレ、あんたと、一緒に居たい」
絞り出された掠れ声。ヴァルディースは強く腕を引いた。レイスを侵していた闇の束縛が断ち切られ、ほどけていく。すがりつくように腕の中に飛び込んできたレイスを、きつくきつく抱きしめ、深く口づけた。ヴァルディースの炎が髪の一房から足の先まで、レイスの全身を再び満たしていく。
熱い吐息が溢れ、震えるレイスの指先が、ヴァルディースを求めて爪を立てた。
急激に送り込まれた魔力に魅了されたレイスが、全身を火照らせて蕩けそうな眼差しでヴァルディースを見つめる。
牙を立てないように首筋に噛み付くと、背筋をしならせてレイスが震えた。
腕の中でぐったりと身を投げ出す様は、どれだけロゴスの闇で侵されていたのか。今すぐここで全て浄化するように、レイスの身を解き放ち、ヴァルディースで満たしてしまいたかった。
けれどそんな余裕はどこにもない。
闇を引き裂くように、強い光が割り込んだ。
「ユイス、フェイシスを!」
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